情報技術と社会経済システム

IT化で参入は容易になるが結局最後は寡占化が進むと考えられる。ただ寡占企業とてcontestabilityにより不適正な利益を上げることが不可能だから,ITで多くの人が食べることは長期的には困難。

音楽CDは早晩ネット配信になるから,レコード店は潰れ,ハードの配送は不要になるだろう。その意味で商業系・情報流通の類は,雇用吸収力の点で将来性がない。その点,散髪やエステのような対個人サービス業はネット利用は予約くらいまでで,本人が出向かないと用をなさない。従って,交通と通信の代替の程度は部門間で相当の差が出るという,産業組織論的問題が生じる。


1. 完全競争条件の変容
参入障壁の低下-->分散へ-->競争激化-->寡占化。
しかしcontestableなので,常に新規参入に晒される。→長期的に超過利潤を上げることは不可能。

◆「競争激化-->寡占化」のところがそれ以前と違って直接つながっていないので、「→」が直接の因果関係を表すのか、他の要因を含んだ単なる時間的な推移を示すのか混乱しているようです。

◆「→長期的に超過利潤を上げることは不可能」かどうかは、参入障壁・参入費用がどの程度まで下がっているか、contestability の度合などに依存します。

1-a 途上国の競争条件
参入は容易だが,先駆者利益が大きく逆転は難しい。
例:yahoo.com, amazon.com

◆途上国の国内や、途上国からの情報発信などに関連する分野にはまだ大きな余地が残されており、逆に世界画一的な一般系分野よりも発展性があります。

1-b 産業別に盛衰がdivideする。
衰退:商社,レコード店など(直接取引・電子配信へ)
存続:対個人サービス

◆前項までは主にIT産業自体について語っていたのが、今回より急にITを利用した他の産業ビジネスの話になっていて,やや混乱があります。

1-c 通勤・logisticsの通信への代替可能性
注:call-centerとlogisticsは別立地で構わない。

◆これだけでは実際にモノを扱う人々の通勤が現在と比べてどうなるのかはっきり述べていません。
←通勤交通は在宅勤務で代替可能な部分が増加し,logisticsの一部は電子配信などに代替される。さらにcall-center(通勤先)とlogistics(配送元)とが,分離立地する可能性が広がるため,人流と物流のパターンが大きく乖離する。

2. 知的財の価格付け
極端な収穫逓増産業で,MC=0の財に正の価格付けをすることによる効率低下はどこまで許されるか?

◆公的管理をしてしまい政府の介入や参入規制が招く負の効果より、上の効果が小さい限りだと思われます。

3. 国際商取引ルール
付加価値税の徴税権をめぐるTax game

◆付加価値税以外にも論点はありそうですが・・・あまりにメモ的過ぎて。
←域内関税等IT以外にも関係する問題はありますが,e-trade的には当面最大の問題でしょう。早急に協議しなければならない問題でありながら,先進国間でも利害が対立が顕著です。徴税権の設定方法により企業の空間的立地パターンも大きく変化します。

4. 労働市場のmismatch
短期的には,concurrent educationの可能性
長期的には,どれだけの労働力がどの分野で必要とされるか?→人口増加の結果,過剰労働力をどう吸収するか?

5. 航空FFP (coalition)による寡占化は厚生を増大するか?
手数料ビジネス(旅行代理店)の終焉。


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